Newsお知らせ

2014.04.24トピックス

口腔ケア。ちゃんと出来ていますか?ウイン調剤薬局衣笠店 保険薬剤師 小山 幸恵

歯科領域で今注目されているのは歯周病です。
歯周病は全身に様々な疾患を引き起こすことが明らかにされてきました。歯周病は細菌感染症です。
お口の中の常在菌とは違う菌で、歯垢(プラーク)に含まれている歯周病菌に感染し、歯肉が腫れたり出血したり、最終的には歯が抜けてしまう病気です。

 

糖尿病と歯周病

歯周病は以前から糖尿病の合併症の1つと言われてきました。実際、糖尿病の人はそうでない人に比べて、歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いという疫学調査が複数報告されています。更に最近、歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという逆の関係も明らかになってきました。歯周病治療で糖尿病も改善することも分かってきています。

歯周病菌は腫れた歯肉から、容易に血管に侵入し全身に回ります。血管に入った細菌は体の力で死滅しますが、歯周病菌の死骸を持つ内毒素(細胞壁に含まれる毒物・エンドトキシン)は残り、脂肪組織や肝臓からTNF-αの生産を強力に推し進め、血液中の糖分の取込みを抑えてインスリンの働きを邪魔してしまうのです。

※TNF-α:腫癌壊死因子(腫癌細胞を壊死させる作用のある物質として発見されたサイトカイン)

 

歯周病と心臓・脳血管疾患

歯周病の原因菌などの刺激によって、動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来、血液の通り道は細くなります。
プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細い所で詰まり、心筋梗塞・脳梗塞が起きることになります。

 

歯周病とメタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪蓄積を腹部CT検査により内臓脂肪面積が100?以上と定義し、腹囲が男性85?女性90?以上を基盤として、主に1)脂質異常2)高血圧3)高血糖の3項目のうち2つ以上に異常が見られる病態です。大きな特徴は、内臓脂肪の蓄積を基盤とすることであり、高血圧、脂質異常の値がさほど高くなくても脳卒中や心筋梗塞の危険性が高くなることです。
詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、歯周病の病巣から放出されるLps(歯周病菌由来の毒素)やTNF-αが脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、血糖値を上昇させます。また、重症歯周病では血中のCRP値が上昇し、動脈硬化や心筋梗塞発症のリスク亢進と密接に関与すると考えられています。更には、この慢性疾患が老化を促進するという論文も出てきました。

 

歯周病と心臓・脳血管疾患

歯周病の原因菌などの刺激によって、動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来、血液の通り道は細くなります。
プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細い所で詰まり、心筋梗塞・脳梗塞が起きることになります。

 

歯周病と誤嚥性肺炎

食べ物や異物を誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで発症する肺炎を誤嚥性肺炎と言います。特に免疫力の衰えた高齢者では発症率が高く、食べ物などと一緒に歯周病菌などの細菌が肺に入って発症します。
最近、歯茎の腫れを感じたり、歯磨きの際に歯茎から出血したりすることはありませんか?
ひょっとすると歯周病かもしれませんよ。
成人の殆んど歯周病と言われるほど歯周病患者の多い日本。
しかし、初期の段階では自覚症状もなく残念ながら気づける人はそう多くないでしょう。
食生活や運動不足の解消など生活面の改善と同時に、正しい歯磨き、そして定期的な歯科検診により歯周病菌をシャットアウトすることが、病気のリスクを減らし全身の生活習慣病を予防することに繋がります。
歯周病菌は血液中に侵入し、全身を巡って心臓・脳・胎児・骨・関節・腎臓などに悪影響を及ぼすことを忘れないで下さい。

※日本臨床歯周病学会ホームページ参照