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2022.10.06トピックス

「市販薬の過剰摂取」から考えること

ウインファーマ グループ
セルフメディケーション推進室 室長 鈴木 伸悟

市販薬の過剰摂取が社会問題になりつつあります。国内で2020年1月に発生したコロナ禍以降、ストレスで若者などが市販薬の過剰摂取に至り、救急搬送されることが増えております。

「薬物依存」といえば覚醒剤や違法ドラッグ、睡眠薬などが思い浮かぶかもしれませんが、最近の若者にとってはそれだけではありません。

かぜ薬やせき止めなどの過剰摂取「オーバードーズ」は、一時的に精神的苦痛を和らげるとの情報がSNSなどで広まり、服用をやめられない若者がおります。

一方で国は、各自が健康に責任を持ち、軽度の体の不調は自分で手当てするセルフメディケーションを掲げ、医薬品の規制緩和やセルフメディケーション税制など医療費の節減につながる施策として積極的に進めてきています。セルフメディケーションが推進されると共にドラッグストアやインターネット通販などで簡単に手に入るようになった市販薬ですが、使い方を誤ると危険な依存をもたらしたり中毒で死に至ることがあります。

こうしたことから市販薬の過剰摂取の問題は、テレビやインターネットのニュースで報じられる機会が多くなってきました。

弊社では、2022年1月NHKクローズアップアップ現代プラスの「あなたは大丈夫?コロナ禍で広がる市販薬の過剰摂取」をテーマとした取材に協力をしました。弊社は処方せん調剤が主体のいわゆる調剤薬局として20年以上運営をしておりますが、近年では小売事業への展開でOTCと言われる一般医薬品やヘルスケア医療用品にも力を入れ、地域住民のセルフメディケーションをサポートするために市販薬OTCの販売も各店舗で積極的に取り組んでおります。

こうした薬局での市販薬OTC販売の取り組みを今回は取材を受け、放送では、市販薬を適切に使用していただけるような売り場作りや気軽にお薬相談を患者様が受けられるようなコミュニケーションをつくる大切さと正しい服用をしていただけるよう親身に指導するといったまさに現場の服薬指導業務の場面が放映されました。

このように弊社薬局でも医薬品の適正使用に日々取り組む一方で、この市販薬の過剰摂取を防いでいくためには、大きな壁があると感じております。それは熱心に乱用対策をする薬局が多くあっても、同じ地域に薬物乱用を見過ごしてしまう薬局があれば、乱用者はそちらに通い続けると考えれるからです。

また、ほとんどの市販薬が、会話をすることなくインターネットでも購入ができますので、根本的な解決は難しいでしょう。当然ながら各薬局での継続的な声かけも効果的な手段ではありますが、私個人としては法律や制度を変える必要性も感じております。

市販薬乱用・依存患者には、10代の若者も多いといわれています。
市販薬の乱用者全員が快楽を得るために服用を繰り返しているわけではないということを理解する必要があります。

事実として、悲しい出来事や深刻な悩みがあっても周辺に相談する人がいないなど様々な理由で、一次的な逃げ場を求めて違法ドラッグも含めて薬に手を出してしまう人がいます。また、乱用をやめたいと思っていてもできない人もいるのです。それぞれの事情を知り、患者さまに寄り添った対応を行うのが大切だと思っています。