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2014.03.10トピックス

後輩たちに伝えたい 大災害時の 薬局・薬剤師の活動ウインファーマグループ 代表取締役 藤田勝久

お薬手帳が最大級の情報元だった

2011年3月11日。あれから間もなく3年である。
福島県郡山市の弊社の1店舗は壊滅状態となり、いわき市の弊社ウイン調剤薬局湯本店には、原発の水素爆発から避難してきた人などが集中した。処方せんのない患者さまがほとんどで、薬剤師が一人ひとりから服用薬、服用状態などを聞き取る作業が続いた。午前中だけで70人以上に投薬した日もあったという。
お薬手帳は、今もコピーが残っているが、まさに最大級の情報元であった。医薬品は地元の医薬品卸が、毎日、曲がりくねってしまった道を縫い、供給を続けてくれた。その地域に密着し、かかりつけ薬局として大災害時に医薬品の供給、投薬ができたことは、今後に、生きた実践として残していかなければならないし、また、現場薬局薬剤師が最大限に職能を発揮できたことは、誇りとしても良いと受け止めている。
私は薬局経営者として、現場の薬剤師の使命を果たしてもらいたいと願いつつも、安全の確保が優先と考えていた。被災地の店舗と連絡を取り合い、食料、水、給油等の要望を受けつつ、多くの被災者に医薬品を供給し、実際には負担金をどうするかなど、徴収することは厳しい現状であった。
厚労省の特例通達が出され、、処方せんのない患者様への医薬品供給を優先し、薬局の医療保険扱いとして受理された。

 

震災に対応した62歳の薬剤師の死

大震災から1年半後、ウイン調剤薬局湯本店で活躍した薬剤師の一人を、62歳という若さで病気で亡くしてしまった。いつか、この震災時の現状と薬局現場の対応を、彼の口から医療を担う後輩たちに伝えてもらいたかった。
今でも現場の薬剤師として彼の奮戦ぶりを思うと目頭が熱くなる。彼の職業人としての意識、プロ薬剤師として地域に根差そうと努力した意識の高さと業績に、大きな敬意と感謝を捧げたい。
今回の緊急災害対応に際して、先の阪神大震災に続き、結果的に薬局が何もできなく、同じ轍を踏んでしまったと悔やんでいた薬局経営者の率直な声があったことも承知している。今まさに、起きても不思議ではない東海地震、東南海・南海地震など、常に緊急時への準備と備えは、絶えず対応していくべき優先事項である。だからこそ、2011年3月11日の大震災を忘れてはならないと、心に誓っている。